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天野裕士
【資格】木製床管理者/体育施設管理士/有機溶剤など 【仕事】床職人及び管理を行っている。公共施設の床工事を数多く手掛けてきた。【お客さまへの想い】適切なスポーツフロアメンテナンスを広めていくことに使命を感じ自身で想いを込めた小冊子を作成。 【本人より】スポーツフロアのお困りごとお任せください!!

体育館に貼られているラインテープは、バスケットボールやバレーボールなどの競技で使われることが多く、何度も踏みつけられるため劣化しやすいものです。そのため、年数を重ねるごとに剥がれやすくなり、定期的な貼り替えが必要となります。実際、テープが剥がれてしまい、貼り替えを検討している方も少なくはないのではないでしょうか。

 

そこで、当記事では、ラインテープの剥がし方について解説します。ラインテープを綺麗に貼るためには、その前に綺麗に剥がしておくことが重要となってくるため、これから貼り替えを検討している方は、ここで剥がし方を把握しておきましょう。

体育館のラインテープの剝がし方

体育館のラインテープを綺麗に剥がすには、力任せに剥がさないことが大切です。正しいやり方で剥がさないと、テープの糊が残りすぎてしまったり、テープがちぎれたりして、後処理がとても面倒なことになってしまいます。そのため、以下の方法で、床を綺麗に保ちながら剥がすようにしましょう。

【ラインテープの剥がし方】

  1. テープの端を持つ
  2. テープを剥がしていく方向に向かって剥がしていく(この際、上方向に向かって引っ張ったりしないこと)
  3. なるべく手元を低い位置でキープしながら、ゆっくりと剥がしていく
  4. テープが切れてしまった場合は、カッターなどで端を切り、テープの先端をまっすぐにしてから均等に力がかかるように剥がす

 

もし、上記の手順でも綺麗に剥がれない場合は、ドライヤーを使うのも一つの方法です。ドライヤーであぶりながら剥がしていくと、ラインテープが柔らかくなって剥がしやすくなり、糊も残りにくくなります。ただし、やりすぎると切れやすくなる可能性もあるので、注意してください。

 

ラインテープを剝がした後に粘着糊が残った場合の対処法

万が一、ラインテープを剥がした際に、粘着糊が残ってしまった場合は、以下の方法を実践してみましょう。

【粘着糊が残った場合の対処法】
● ガムテープやプラスチックヘラで剥がしとる
● 市販のアルコールやシンナーで拭き取り

ただし、これらの方法は、床にワックスがかかっていないことが前提となります。ワックスがかかっていると、溶剤がワックスを溶かしてしまう可能性があり、最悪の場合、業者に再度ワックスがけの依頼をしなくてはならない可能性がでてきます。

 

ガムテープやプラスチックヘラで剥がしとる

残った糊が完璧に乾ききっておらず、ベタベタしている状態であれば、ガムテープやプラスチックヘラで剥がしとる方法がおすすめです。ガムテープを使用する場合は、粘着糊の部分にガムテープをつけたり剥がしたりを繰り返していけば、取れます。

 

ただし、糊がこびりついている場合には、プラスチックヘラを使用して、削ぎ落とさなくてはいけません。プラスチックヘラで削ぎ落とす場合は、強くやりすぎて傷をつけないように注意してください。また、削ぎ落とすのはかなり時間がかかるので、できる限り大人数でやるようにしましょう。

 

市販のアルコールやシンナーで拭き取り

糊が乾燥してしまってガムテープやプラスチックヘラではどうしようもない場合には、市販のアルコールやシンナーで糊を溶かして拭き取りましょう。アルコールやシンナーであれば、糊を侵食して柔らかくしてくれるので、拭き取りやすくなります。拭き取り切れない場合には、アルコールやシンナーが染みた状態で、プラスチックヘラを使用するのも一つの方法です。

 

ラインテープの糊を剥がす際に使用する溶剤に、「ベンジン」をおすすめしているケースもありますが、ベンジンは引火性が高くて危険なため、あまりおすすめできません。いくらやっても剥がせなくて何とかしたい場合には、専門業者依頼するようにしましょう。

 

粘着糊を処理する場合の注意点

残った粘着糊を処理する方法として、ガムテープやプラスチックヘラ、アルコール・シンナーを取り上げました。どれも効果的に糊を処理できる方法ではありますが、自分でラインテープを剥がす場合は、以下の注意点を押さえたうえで取り組むようにして下さい。

 

【粘着糊を処理する場合の注意点】

  • 体育館の塗装面に影響を及ぼす可能性がある
  • 範囲が広いほど手間がかかる
  • 溶剤を使った場合は臭いが残る可能性がある

 

体育館の床を傷つけてしまったり、塗装を傷めたりしないよう、十分に注意を払って糊を処理していきましょう。

 

体育館の塗装面に影響を及ぼす可能性がある

アルコールやシンナーは、糊を溶かす際に活用する溶剤ですが、体育館の床に使われている塗装にも影響を及ぼす可能性があるので、注意が必要です。塗料の種類や溶剤の種類にもよりますが、市販のものを使って糊を落とす場合は、極端に使用しすぎないようにしましょう。

 

例えば、アルコールやシンナーを使用する場合は、タオルなどに少しだけ吸収させてから使うなどして、直接床にかからないような工夫をすると、ダメージを抑えられます。

 

範囲が広いほど手間がかかる

単純に、粘着糊が残っている箇所が多ければ多いほど、手間がかかります。当たり前のことですが、いざやってみると本当に大きな手間になるため、実際にやると決めたらそれなりの人員が必要となるでしょう。

 

特に、体育館は、直径で50m以上ある場合がほとんどです。体育館全体に貼られたラインテープを剥がす場合には、かなりの時間を要します。部分的なら自分一人でやっても問題ありませんが、全体のラインテープの貼り替えをする場合は、できる限り専門業者に依頼することをおすすめします。

 

溶剤を使った場合は臭いが残る可能性がある

溶剤の種類にもよりますが、シンナーなどを使って糊を落とす場合には、体育館に臭いが残る可能性があります。そのため、シンナー使用する際は、体育館中の窓を開けてしっかりと換気をしましょう。

 

また、仮に換気をしていたとしても、臭いが残る可能性は高く、数日は臭いが抜けないかもしれません。シンナーを使って糊を処理する場合には、そのあと2~3日は使用を禁止するなどの対策を練っておくことも大切です。

 

コートライン工事は専門業者に依頼するのがおすすめ

テープを剥がす場合のほとんどが、「貼り替え」を目的にしているかと思います。そのため、剥がした後は、ラインテープの貼り付け作業が必要になってくるでしょう。ラインテープを体育館で行う競技ごとに貼り付ける作業は、想像以上にスキルが必要な作業です。素人がやろうとすると、失敗してしまう可能性が高く、失敗すると再び糊が残ってしまうことも考えらます。

 

ラインテープを貼り付けるコートライン工事は、できる限り専門業者に依頼するようにしましょう。専門業者に依頼することで、各競技のルールブックに則った寸法で、きっちりとラインテープを貼ってくれます。

 

まとめ

体育館のラインテープを剥がす際は、力任せに剥がさず、なるべく綺麗に剥がせる方法で行いましょう。そうしないと、粘着糊が残ったり、テープがちぎれて残ってしまったりします。糊が残ると、プラスチックヘラやアルコール、シンナーなどを使って処理する必要が出てきてしまうので、素人が行うにはかなりの手間です。

 

部分的なテープの補修をする場合は個人でやっても問題ないですが、広い範囲のラインテープを剥がす場合には、専門業者に依頼しましょう。プライベート施設ならまだしも、多くの方が使う体育館では、ちょっとした貼り方の違いが競技に影響を及ぼすことも考えられます。そういった事態を防ぐためにも、専門業者に依頼して、きっちりとラインテープ貼りを行なってもらうのがおすすめです。