体育館床材事故の経緯と見解から正しいメンテナンス3つのポイントを解説

体育館床板剥離の事故について

未だ記憶に新しいスポーツフロアの床材剥離における負傷事故!

事故は、2013年5月1日にバレーボールの全日本男女選抜大会中に起こりました。

バレーボール

とある選手が練習中に、ボールをレシーブするために飛び込んだ際、剥離した木片が腹部に突き刺さったのです。

負傷の原因になった木片は19cm、選手は刺さった腹部の前を3針、背中を2針縫って入院したとのことで全治2週間と診断されたそうです。

会場はものものしい空気に包まれていたことが、当時のニュースになりました。

新聞

今回は、その事故についての内容、そして原因や防止策をお伝えしていきます。

消費者安全調査委員会(消費者事故調)による調査が決定

なぜ・・・事故は起きてしまったのでしょうか?

当初、事故原因はいくつもの推測がなされました。

それは、経年劣化によるもの床材によるもの、メンテナンス不足によるものなどでした。

経年劣化

ただ、不確かな推測であり、実際に何が原因であるかを突き止める必要がありました。

そこで、消費者安全調査委員会(消費者事故調)は調査行うことに決めたのです。

委員会は木材の専門家など各分野のエキスパートによって結成されました。

エキスパートの結成

平成27年9月25日、事故等原因調査等を行う事案として本件が選定、消費者庁の消費者安全調査委員会により調査を開始しました。

調査によって、体育館や講堂の床から床材が剥離して体に突き刺さり危害を受けた事故が国内で過去に8件発生していることを確認しました。
刺さった木片の長さは5cm~30cmでした。

8件の中には、重傷を負った事故があるほか、海外では死亡に至った事例もあります。

どのような事故だったのか下記に掲載しました。ご覧ください

事故事例について

発生年 発生場所 競技種目 状況
2006年8月 高等学校体育館 バレーボール フライングレシーブの体勢で上半身から飛び込んだ際、浮き上がった床の一部が右胸下部に刺さった。
2011年7月 中学校体育館 バレーボール バレーボールの活動中に床板の木片が左胸に刺さった。
2012年4月 中学校体育館 バレーボール バレーボールのレシーブの練習で床に飛び込んだ際に、一部剥がれていた床板の木片が右胸に刺さった。
2013年4月 中学校体育館 バレーボール バレーボールの部活動中に体育館の床板が剥がれて刺さりけがをした。
2013年5月 公立体育館 バレーボール バレーボールのレシーブの練習で上半身から床面に滑り込んだ際、床板の木片が腹部に刺さり5針を縫うけがをした。
2014年4月 公立体育館 バレーボール バレーボールでレシーブした際、床板の一部がめくれて右脇腹に刺さり負傷した。
2015年4月 大学講堂 フットサル フットサルの活動中、背中に床材の木片が突き刺さった。木片は肝臓までに達していた。
不明 中学校体育館 バレーボール バレ―ボール部の練習中、ウォーミングアップでフライングレシーブの練習をしていた。その際、体育館の床材の一部が左大腿部から左下肢に刺さった。

これらの事故は、いずれもバレーボール(7件)やフットサル(1件)の活動中の事故であり、フライングレシーブやスライディングなど床に滑り込む動きをした際に発生しているものと推定されます。

今後、調査委員会において、事故原因や再発防止等について、調査・検討を行いますが、体育館等の利用に当たっては床材に
・傷、割れがないか
・反り、浮き、目違いがないか
・床鳴りするところがないか
どうか等を確認することが重要です。

消費者庁より

調査を行うに当たり長期に渡るとの見解を示した消費者庁は、調査期間に同様の事故が起こらぬよう、以下の点等について留意するようお願いしています。

これは、まだフロアを点検していない施設にも言えることです。

○ 床板に傷や割れ、ささくれ、そり、浮き、目違い、床鳴り等がないかどうかを点検し、そのような状態を確認した場合は、速やかに修繕等(必要に応じて全面改修)を行うなどの維持管理を適切に行うこと。
修繕等を行うまでの期間、利用者への注意喚起や必要に応じて使用を中止する等、事故を防止する措置を講ずること。

○ 体育館等の床材による軽傷事故の発生状況を常時確認し、重大事故につながるおそれがないか検証すること。

○ 経年劣化等により、床板が破損しやすくなっている場合があるため、床置き式のバスケットゴールやバレーボールのネット支柱、トレーニング機器、パイプ椅子の収納台車等の設置や利用、移動の際に、床板に傷や破損等が生じないよう注意すること。

消費者庁より

なぜ消費者庁の結果を理解する必要があるのか⁉

調査はどのように行われたのでしょうか⁉
疑問を持つ方も多いと思います。

調査にはスポーツフロアメンテナンス・そしてスポーツフロアメーカー、ワックスメーカーそれぞれの思いが交錯しました。

床材のせいにされては困る、メンテナンス不足のせいにされては困る、メンテナンス用品のせいにされては困る、それぞれの立場によっての本音だったかもしれません。

事実、調査が入る前、それぞれ扱う商品以外のものを悪者にしていた業者が見受けられました。

間違った情報を選ばないためにも、床材を適切に維持管理していくためにも、消費者庁の結果を理解する必要があるのです。

調査にあたって

尚、消費者庁が調査を行った経緯、そして目的は以下の通りになります。

消費者安全調査委員会が消費者安全法第23条第1項の規定に基づき、消費者安全の確保の見地にたって、事故の発生原因や被害の原因を究明するものである。
消費者安全調査委員会による調査又は評価は、生命身体に係る消費者被害の発生又は拡大の防止を図るためのものであって、事故の責任を問うために行うものではない。

そして本事故が調査に対象として選定された理由には

(1)体育館は全国の学校又は公共施設に設置されており、児童から高齢者まで幅広い消費者の利用に供されていて「公共性」が高いこと。
(2)重傷事故が発生しており、「被害の程度」が重大であること。

不具合の放置は重大事故に繋がる危険性があります。

未だ、調査が行われていない、また適切な維持管理が行われていない施設にも遭遇します。

床材の塗膜が摩耗し地肌が散見していたり、欠けや損傷がある場合には早急に対応してください。

どのような見解を示したのか

公共性が高く、多くの施設が存在している体育館、次の事故を起こさないためにも、結果を理解する必要があります。
報告書のポイントを要約すると

※維持管理する中で、水を使った清掃を行った。
※水分の吸収・乾燥が繰り返されることで木材を構成する物質が破壊され、内部の劣化が進行、割れやすい状態になった。

そして、この劣化した床に運動競技による衝撃が加わって床材が徐々にはく離していきました。

それでは、どのように維持管理し、どのような業者にメンテナンスを依頼すれば良いのでしょうか⁉

適切な維持管理の在り方とは⁉

体育館(スポーツフロア)では安全かつ安心に利用できる状態でなければなりません。

正しいメンテナンスを行うことでフロアコンディションが良好に保たれます。

適切に維持管理していくためには3つのポイントがあります。
また定期的に専門業者による床点検を行うことで早期に異常を発見することができるため、同時に行っていくことを推奨します。

  1. 清潔であること
  2. 床表面の光沢・すべり等を最適な状態に保持すること
  3. 破損及び摩耗箇所が放置されていないこと

メンテナンス(維持管理)の方法と分類

メンテナンス

 

◎日常清掃

体育館清掃用モップ(ワックス成分等を含まないもの)によるカラ拭きを使用前・使用後に行う

◎特別清掃

定期的に年3~4階行う。
日常清掃で取り切れないがんこな汚れの除去

◎保護管理

水分・土砂・ワックス類の持ち込み防止、土足禁止、入口にマットの設置、重量物の運搬設置制限など管理

◎保守管理

床金具の浮き、フローリングの破損、床のスベリすぎなどの補修

特別清掃・点検・メンテナンスの周期

種類 周期
清掃管理 日常清掃 毎日、使用前後
特別清掃 3~4ヵ月に1回
点検 日常点検 毎日
定期点検 半年~1年に2回
補修 随時
改修
(リフォーム)
表面塗装 2~3年に1回
研磨(サンダー掛け)
塗装
10年に1回
床の全面取り換え 20~30年に1回

ケガや事故を未然に防ぐためには、日常的な維持管理及び点検作業が最も重要であります。
適切な維持管理により、安全性を確保するとともにスポーツに適した性能が維持されます。

上の図は木製床の維持管理の周期です。
使用頻度の高い体育館では定期点検の周期を短くすることをお薦めします.

尚、体育館床のメンテナンスは、ワックス業者や、大工さんなどで行っているケースも見受けられますが、スポーツフロアの知識が無ければ間違ったメンテナンスになってしまいます。
専門の業者に依頼してください。

調査依頼に対するお願い

コートラインプロでは、もちろん点検からメンテナンスに当たっています。

現在、調査に対するお問合せが増えています。
早めのご依頼をお願いします。

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霜鳥 裕達
【資格】2級施工管理技士/1級フローリング技能士/木製床管理者/体育施設管理士/有機溶剤など【仕事】床職人歴20年以上になります。まだ小さかった頃、母親が自分を背中にしょってダボ打ちをしていたそうです。【想い】大切な会社、携わる方と共に成長し、幸せにしていきたいです。またホームページやメールマガジンでより良い情報をお届けします。もっとクオリティの高い記事が書けるよう頑張ります。