体育館床板剥離の負傷事故以降の維持管理の在り方

現在、体育館の多くが木製床ですが、その維持管理については、まだまだ知られていません。
どんなメンテナンスが必要なのかも、理解はバラバラでした。
学校体育館の多くは生徒によるワックス掛けや水を使った清掃、また使用後には求塵剤の付いたモップなどで拭くこともありました。
それまでは、それが当たり前と思われていて、それほどメンテナンスの在り方について気にしている方は少なかったでしょう。
ただ、今では、上記のようなメンテナンスは不適切とされ、適切なメンテナンスを行う必要があると変わってきています。

 

きっかけは、平成27年に起きた体育館床板の剥離による負傷事故によるものです。
消費者庁の消費者安全調査委員会はを対象事案として調査し、平成29年5月に事故等原因調査報告書を発表したのです。
調査結果を踏まえた意見を受けて文部科学省およびスポーツ庁は、所管自治体の各学校や社会体育施設などへ事故防止対策の周知を図るよう通知しました

さらに同年12月には、通知にて要請した取組みの実施状況を把握するための調査を行い、平成30年5月に調査結果の公表と取組みの徹底について再度通知を出しています。

日頃からフローリングや床の点検を行うことや定期点検の徹底、そして計画的な補修・改修、および事故を起こさないための安心安全に対する施設管理者の意識向上や安全対策の強化が重要になります。
例えば 床材にダメージを与えない日常清掃や床材の危険を取り除くための張替え補修などがあります。

体育館床の劣化の症状とは

体育館

体育館床材劣化の症状には、滑りやすさや、ラインの見にくさ、床材の劣化や、床下地の浮き沈みなどがあります。
滑りやすさは、既存の塗膜が摩耗によってつるつるになっていたり、床下の換気が上手くいかず結露を起こしてしまったり、ワックスや滑り止め剤の劣化して滑りやすくなったりします。

コートラインの見にくさは、摩耗や黄変によるものです。床材も時の経過と共に変色していきます。これは、表面に塗られているウレタン塗料自体にも言える事です。
また床下地にダメージを受けると”ギコギコ”と床鳴りがすることがあります。
床支柱のボルトが緩み起こっている可能性があります。

どれも、劣化の症状です。また放置することで更に進行が早まります。
計画的な補修や改修を行うことをおすすめします。